三上晴子「Molecular Clinic 1.0」(on the internet)
アートラボ第5回企画展 (1995-1996)
(c) キヤノン・アートラボ

アートラボ第5回企画展 「Molecular Clinic [モレキュラー クリニック] 1.0 on the Internet」

1995-1996

アーティスト:三上晴子
会期:1995年10月21日 -1996年4月30日
www.canon.co.jp/cast
主催:キヤノン株式会社アートラボ

現代社会における人間の情報環境(生態、免疫、情報戦争etc.)をめぐって作品を発表してきた三上晴子は、さらにコンピュータ・サイエンスに基づいたバイオ・インフォマティクス(生態情報学)にとりくんでいる。アートラボとのプロジェクトでは<数学(因子)と知覚(形態)のインターフェイス>をテーマに、プログラム(数値)自体の変化を情報交換の諸関係として捉え、そこから生態情報と感覚の問題にアプローチがなされた。人間が自覚できない感覚器官のプロセスがデジタル・メディアに置き換えられ再知覚化されていくことになる。ここでは「あらゆる物体は、固体であれ、液体であれ、モレキュール(球体分子)の連鎖を変えることにより、人工的に作り出すことができる」というモレキュラー・バイオロジー理論をもとに、形態素の基本単位としてモレキュールが設定された。このコンセプトを進化させるディスカッションの過程で、ネットワークとVRに分化、展開させた2つのプロジェクト《Moleular Clinic》(第5回企画展)と《Molecular Informatics》(第6回企画展)とが生み出された。これらは、自らプログラミングを学び、メディア・アートへと移行した三上最初の作品である。(阿部一直+四方幸子)

*『Partner of Forerunners - Canon’s Cultural Support Activities キヤノンの文化支援プロジェクト[1991-2000]』(キヤノン株式会社、2000)より

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「キヤノン・アートラボ」は、科学と芸術の融合による新たなアート領域の創造をめざす実験的な場として1990-2001年に存在したキヤノン株式会社の文化支援プログラム。アーティストとソフトウェア・エンジニアとの約10カ月のコラボレーションによりメディアアートの新作を発表、それらの多くが国内外を巡回、アップグレードも継続的に行った。実施した展覧会は、合計17(企画展10、海外から作品を招聘するプロスペクト展5、オープン・コラボレーション展1、特別展1)。その他にカタログを始めとした出版、シンポジウムやトーク、機器サポート、資金サポートなどを行なった。

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