イリヤ&エミリア・カバコフ展「私たちの場所はどこ?」(2004)
展覧会チラシ

イリヤ&エミリア・カバコフ展「私たちの場所はどこ?」(画像追加予定)

2004

2004年5月29日-7月19日
会場:森美術館(東京・六本木ヒルズ)
主催:森美術館、ケリーニ・スタンパリア財団(ヴェネツィア)、21世紀国立美術館(ローマ)
レセプション協力:メルシャン株式会社

寓話性に満ちたユニークな絵画やインスタレーションで世界的に活躍するロシア人アーティスト、
イリヤ&エミリア・カバコフの新作インスタレーション「私たちの場所はどこ?」は、時間とスケールが異なる3つの展覧会が一つの空間に同居する、かつてない不思議さと驚きに満ちた展覧会です。空間には、金色の額縁に入った古典絵画らしきものとそれを眺める巨人が天井をつきぬけ立っています。壁にはソ連時代の写真と古いロシアの詩が入ったパネルが展示され、床下には小さなランドスケープが広がっています。それぞれ過去、現在、そして未来(?)を想起させる3つの世界を、観客は想像力を駆使して自由にめぐることになります。空間にあるのはすべて断片かつ匿名的なものであり、観客ひとりひとりがそれらを自在にリンクさせ、新たな物語や記憶の空間をつむいでいくことが期待されています。と同時に各人は、カバコフ夫妻のいう「トータル・インスタレーション」にとりこまれ、作品の一部となるのです。カバコフ夫妻が「あらゆるものの相対性」と呼ぶ本展では、その時々に永遠性を志向して生まれた芸術が、常に新しい芸術に超越されていく歴史の必然性および価値の相対性が表現されています。そこにはソ連をはじめさまざまな時代や価値観の波にさらされながら培われた、カバコフ夫妻ならではの強靭なユーモアと批評精神が息づいています。観客は、複数の時代や地域を行き来することで、歴史や社会、文化の中において、自分の「場所」—自分は何者なのか、どこにいるのか—を改めて確認しはじめることでしょう。

*展覧会ハンドアウトより

企画:キアラ・ベルトラ(ケリーニ・スタンパリア財団)、デヴィッド・エリオット(森美術館館長)
学芸:四方幸子、小川光代、鷹箸絵麻(森美術館)
設計管理:前田尚武、中島美々(森美術館)
技術監修:イゴーリス・マルコヴァス

- 学芸部門の責任者として展覧会実施・図録編集を行なった。
- 本展に際し、『イリヤ&エミリア・カバコフ 私たちの場所はどこ?』を刊行(森美術館+淡交社、2004)。
- 本展は、2003年6月12日-9月7日にケリーニ・スタンパリア財団(ヴェネツィア)で開催、2004年11月3日-2005年1月3日に21世紀国立美術館(ローマ)に巡回した。

[関連イベント]
レクチャー「カバコフのロシア」
5月29日 17:00-19:00
会場:アカデミーヒルズ 六本木フォーラム ステップルーム1
出演者:沼野充義(東京大学文学部教授)、デヴィッド・エリオット(森美術館館長) *日英同時通訳付、要事前申込

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